リンパ浮腫・むくみのこと
むくみ(浮腫)とは、余分な水分が皮膚の下にたまっている状態です。通常、体内の水分は動脈からそれぞれの組織に供給され、役割を終えたら、静脈やリンパ管に帰っていきます。ところが、何かしらの理由で静脈やリンパ管に戻れなくなると、皮膚の下に水分がたまり内側から押されて膨らんでしまうのです。
浮腫が起きやすい部位は、顔や腕、手指、膝下から足にかけてです。水は重力で下にたまりやすいため、特に膝より下は浮腫が発生しやすくなります。
軽めの浮腫は健康な人にも起こるため、浮腫が起きたとしても病気であるとは限りません。起床時に顔やまぶたが腫れぼったく感じたり、夕方に足が浮腫んだりしても、しばらくすると解消される場合は特に治療を行なわなくても大丈夫です。
これらのむくみが慢性的に起こっているのがリンパ浮腫です。
リンパ浮腫とは、体内のリンパ管やリンパ節が何らかの理由で損傷することにより、リンパ液が体内に漏れだし、腕や脚にたまってむくむ病気です。
リンパ浮腫には生まれつきリンパ管やリンパ節に問題があるため発症する「原発性リンパ浮腫」と、手術などで損傷を受けて発症する「続発性リンパ浮腫」に分けられます。
続発性リンパ浮腫の大半は、がん治療の手術により、がん病巣の近くにあるリンパ節を切除(リンパ節郭清)した後の後遺症として発症します。手術以外にもリンパ節に放射線を当てた場合や抗がん剤の影響で発症することもあります。
リンパ浮腫を引き起こしやすいがんは、乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどが挙げられます。このうち上肢(腕)のリンパ浮腫のほとんどが乳がん、下肢(脚)のおよそ9割が子宮がん・卵巣がんと言われており、がんにおいては圧倒的に女性の発症率が高いというのが実情です。
一度傷ついたリンパ管は正常に戻ることがなく、リンパ浮腫になると完全に治すことはできません。また、進行性であるため、早い時期から適切なケアを行い、むくみを改善させ、良い状態を維持することが大切です。
リンパドレナージ中は、リンパの流れが20~30倍の速さで流れると言われており、余分な水分と老廃物を排出しやすくなります。その効果は1週間ほど続くので、その後の日常生活の中で、運動を取り入れる等、日常のケアが必要になってきます。